ヨガ後のお話

平安時代末期に著された『今昔物語集』に月になったウサギのお話があります。このお話は、お釈迦様が前世で菩薩の道を歩んでいた時のお話(ジャータカ物語)がもとになっています。

あらすじを記しますと、ある時、猿と狐、そしてウサギが住む森に一人の老人(実は帝釈天)が現れました。猿は木の実を、狐は川で魚をとって老人に食べさせあげました。ところがウサギはどうやっても食べ物が見つかりません。

何とかしてこの老人をもてなしたいとの思いから、ウサギは自ら焚き火に飛び込みました。老人に自分の肉を食べてもらおうとしたのです。

するとその老人は帝釈天の姿にもどり、自分より人の幸せを優先させることに徹して焼け死んだウサギの慈悲深い心を多くの生き物に知ってもらうために、ウサギの姿を月の中に移したのです。月にウサギがいるというのはこのことによるのです。月を見るたびにこのウサギのことを思うべきですよ。

というお話しです。このウサギのように、自分よりも他人の幸せを第一とすることはとても難しいことです。でもみんなの心がけ次第で少しずつ明るい世の中になっていくのではないでしょうか。

澄んだ空に明るく光る月を見ながら、ウサギの優しい心、人を思いやる温かい心を深く心に刻みたいものです。