無常だからこそ

例年なら春の桜を楽しみ、ドライブへ出かけて木々の芽吹きを感じたいところでしたがコロナウイルスの影響でそうもいかず…。 そんなわけで昔のアルバム整理をしていると「そうだ、こんなことがあったな・・・」と今は亡き人の姿から当時の場面を懐かしく思い出しました。歳月の流れの速さを実感した時、何ともいえない寂しさを感じるものです。

森山良子さん作詞「涙そうそう」は若くして亡くなった兄への思いを歌詞にしているといいます。一番星に祈りながら今は亡き兄にどんなにか励まされていたことでしょう。 生きていれば苦しいことや悲しいことがたくさんありますが、「少しでも前を向いて歩いてゆこう」という活力が感じられる歌詞でもあります。

兼好法師は『徒然草』の中で「世は定めなきこそいみじけれ」と、人の世が無常だからこそより一層しみじみとした情趣が感じられるのであるといっています。だれもが永遠の命だとしたら、人生の味わいは何と薄っぺらく、つまらないものになるであろうか…。いつ訪れるとも知れない最期があるからこそ、懐かしい日々を思う心と、命ある喜びを感じることができるのでしょう。  

過ぎ去りし日々をしみじみ懐かしむとともに、温かく見守る阿弥陀さま、そして先立たれた方々、さらには日頃お世話になっている方々に感謝して、今を大切に生活していきたいものです。